ハラスメントが起きない職場にする(資料編)
年末にお客様から、ハラスメント関係の資料が欲しいと言われましたので、探しました。備忘録を兼ねて、アップします。
このお客様ですが、いわゆる中小企業の規模に当てはまっておりますが、諸事情により非常にコンプライアンスを重視されています。ちなみに、非上場会社ですし、IPOを目指しているわけでもありません。
※過去に受講したハラスメント関係の研修会で、ある女性弁護士さんが「セクハラやパワハラは、カタカナを使うことでカジュアルになってしまっている」と講義の冒頭でお話しになり、別の研修会でも別の労働関係に明るい弁護士さんが「ハラスメントでなく、単に暴行や傷害、強要と言った犯罪です」と断言されていました。たしかに、◯◯ハラで短縮してしまうと余計にそんな感じに思えます。
職場におけるハラスメントの法律
ほぼ厚生労働省やe-Gov法令検索から引用しています。企業がハラスメント防止のためにすべきことを書いた法令をアップしています。アルハラ、スメハラ、スケハラなどまでは言及しません。
セクシュアルハラスメント
(職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置)
第十一条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
(男女雇用機会均等法)
マタニティハラスメント
(職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置)
第十一条の二 事業主は、職場において行われるその雇用する女性労働者に対する当該女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法第六十五条第一項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第二項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものに関する言動により当該女性労働者の就業環境が害されることのないよう、当該女性労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
(男女雇用機会均等法)
(職場における育児休業等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置)
第二十五条 事業主は、職場において行われるその雇用する労働者に対する育児休業、介護休業その他の子の養育又は家族の介護に関する厚生労働省令で定める制度又は措置の利用に関する言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
(育児・介護休業法)
パワーハラスメント
第八章 職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して事業主の講ずべき措置等
第30条の2(雇用管理上の措置等)
事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
(労働施策総合推進法、旧・雇用対策法)
★令和元年政令第百七十四号(20191218公布)で、大企業は令和2年6月1日から、中小企業は令和4年4月1日から=それまでは努力義務。
ハラスメント等防止対策の実効性の向上
~男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、労働施策総合推進法の改正~
1 セクハラ等の防止に関する国・事業主・労働者の責務が明確化※されます
(パワハラ、いわゆるマタハラも同様(2も同じ。))
※セクハラ等は行ってはならないものであり、事業主・労働者の責務として、他の労働者に対する言動に注意を払うよう努めるものとされています。
2 事業主にセクハラ等に関して相談した労働者に対して事業主が不利益な取扱いを行うことが禁止されます
3 事業主は、自社の労働者が他社の労働者にセクハラを行い、他社が実施する雇用管理上の措置(事実確認等)への協力を求められた場合にこれに応じるよう努めることとされます
※ あわせて、自社の労働者が他社の労働者等からセクハラを受けた場合も、相談に応じる等の措置義務の対象となることを指針で明確化します。
(厚生労働省のリーフレットからコピペ、取りあえず令和2年6月1日から。)
ハラスメント防止のためのパンフ類
年内(12月上旬)に探したので、新しいパンフレットが市販等されているかも知れません。無料なら、厚生労働省のホームページからダウンロードしたpdfを印刷すれば良いかと。プリンターのトナーがすごく減りそうな気もしますが。
「社内でハラスメント発生! 人事担当の方」
▶ハラスメント関係資料ダウンロード(厚生労働省あかるい職場応援団)
・パワーハラスメント対策導入マニュアル(第4版)
・パワーハラスメント対策導入マニュアル(第4版)(参考資料)
参考資料ではマニュアルで解説している7つの取組を実施するための、研修資料やアンケート実施マニュアルなどを豊富に収録
→その他、いろいろ資料がアップされていますので、自社内で啓発セミナーもできるかと思います。
お客様に配布したのが、こちらのパンフレットです。
▶ハラスメントが起きない職場のつくり方(清文社さん)
発行が2017年6月5日になっていますので、最新の情報ではありませんが、価格もお手頃なのでどうかなあと、人事総務のご担当者様にお渡ししました。見本としてです。
↑ ↓ こちらのパンフです。サイズ感含めて、どうぞ。
▶STOP!職場のハラスメント―働きやすい職場をめざして―、▶人権ポケットブックⅡシリーズ⑥「パワー・ハラスメント」、▶人権ポケットブックⅡシリーズ⑤「セクシュアル・ハラスメント」(公益財団法人 人権教育啓発推進センター)
従業員・社員への大量配布用としても良いかなあと思いました。こちらも、見本として人事総務のご担当者様にお渡ししました。
パワハラの施行日政令も出たので、近々色々なパンフレット小冊子の類いが発行されることでしょうが、探した時点でお手頃なのはこんな感じでした。人事総務部門のご担当者様であれば、啓発・防止のセミナーだけでなく、実際に企業内を「働きやすい職場」にしようと思うでしょうから、少しは参考になるのではないでしょうか。
就業規則の変更・規定の追加は
ガチガチに法対応をされるのであれば、厚生労働省なり弁護士先生のホームページを見ることをおすすめします。上場企業様や大企業様であれば、パワハラの項目を新たに作る、不利益取扱いの規定を入れる、服務規程の見直し、懲戒規定の見直しなどをされる方が良いです。
現実の問題として、弊所・大阪社労士事務所のお客様に相談されたら、ここ10年以内に弊所で作成または大幅な変更をした就業規則であれば、パワハラ関係の規定はいちおう入れています。服務心得として、あるいは遵守事項として、懲戒規定にも当然対応しています。
「パワハラの対応は、就業規則どうしたら良い?」
顧問契約をいただいているお客様であれば、就業規則等社内規程は保管していますので、それで確認した上で、「その部分だけなら~」という対応になるでしょうか。相談でなく、業務依頼としての就業規則全体の見直しであれば、対応します。
ハラスメント防止のために必要なこと
毎度、セクハラやパワハラの問題が発生すると、対症療法的に、啓発セミナーを行ったり、社長様から宣言や通達を出してもらったり、ときには就業規則を見直して、なんてことをしています。
パンフを配布したからといって、セクハラやパワハラが無くなるわけではありません。それは、社長様や人事総務のご担当者様と話していても、意見は一致します。裁判例でこれだけの判決が出ているとお伝えしても、ほぼ防止策にはなりません。裁判は企業名が出ることの影響の方が大きいです…。
今回は、「働きやすい職場にする」「ハラスメントのない職場にする」ための具体策ではなく、お客様から言われた資料だけをまとめています。
(次のお客様からの相談は、このページを見てくださいと言えます。自分でも、1回調べているので、次がラクなんです。)
年始の挨拶で伺った某企業様には、「経営幹部、管理職層へのアンガーマネージメント・セミナーが良いのでは」と提案したものの、昨年の6月以降、いろいろな方が売り込みに来てるという情報も。皆さん、営業熱心ですね。
(資料編)でした。
大阪社労士事務所
【大阪社労士事務所は、就業規則・労務相談をメイン業務とする社会保険労務士事務所です。】
年次有給休暇の管理、有休の計画的付与制度の導入、働き方改革の支援、就業規則の変更・見直し、各種規程の策定も行っています。
労働条件自主点検表が送付された場合の対応もおまかせください。
ご相談・ご依頼は、ご遠慮なくどうぞ。
電話 06-6537-6024(平日9~18時)
不在時は、折り返しお電話させて頂きます。
または、「お問い合せ」フォームから。
貴社の人事労務の問題点をチェックします
外部から人事労務の問題点を指摘される前に、労働トラブル発生の前に、企業の人事労務問題点を監査します。是非、ご相談ご利用ください。▶人事労務監査
(社会保険労務士は、企業の経営労務監査をサポートします。)
働き方改革の情報も、就業規則見直しセミナー
次回のセミナー開催は、2月5日です。セミナーだけでなく、個別相談の対応も行っています。働き方改革対応セミナーも、同日開催。
「働き方改革の実務対応セミナー」「就業規則見直しセミナー」の講師も承っております。
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