「アレって、労働基準法はクリアしてるの?」

複数のお客様から、立て続けに質問を受けました。どちらも、あるテレビ番組を見ていた総務部長様(複数社!)です。
「テレビで、◯◯は修業時代、親方の自宅のお手伝いもしていたようなんですけど、アレって労働基準法的にエエの?」
「残業代をもらっていないって話していましたけど、アレって、うちの会社でも応用できる?」

いわゆる修行や見習いなら、労働基準法や最低賃金法を意識せずに、働かせて良いのかどうか。そういうことが可能なら、自社でも「見習い制度」を正式に導入してみたい、と。

ご相談いただいた企業様ですが、2社とも大学生のインターンシップ生を受け入れており、実際に無給で大学生さんに働いてもらっている経験がある(あった)。

先に、労働基準法の規定を置いておきます。

労働基準法 e-Govから
(徒弟の弊害排除)
第六十九条 使用者は、徒弟、見習、養成工その他名称の如何を問わず、技能の習得を目的とする者であることを理由として、労働者を酷使してはならない。
○2 使用者は、技能の習得を目的とする労働者を家事その他技能の習得に関係のない作業に従事させてはならない。

大阪社労士事務所・「アレって、労働基準法はクリアしてるの?」庭師?割烹?

この69条の規定を、総務部長さん達に伝えると「給料チャンと払って、労働以外のことをさせたらアカンということですね」と理解が早いです。テレビでは、洗濯や掃除、子守などもやっていたそうです。

「住み込みだと、どうしてもそのあたりルーズになってしまうこともあるようです」と言うと、納得された様子。親方の自宅に住み込んでいる場合、あるいは近くに寮がある場合などはどうしても…。

念のため、いくつかの職種について求人情報を検索してみました。住み込みもいくつか見つかりましたが、「週休2日制、1日8時間・週40時間、社保・寮等完備」程度しか情報は出てきません。お金(最賃以上の給与)をいただいて修行できるのであれば、個人的には文句言わないかなあと思います。と言うか、お世話になってるという気持ちなら文句は言えませんが…。

ちなみに、労働基準法の別の規定も。

(定義)
第九条 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

お金(給与、給金、賃金)を支払えば労働者、無給なら労働者ではない。イメージ的には、ボランティアでしょうか。賃金支払がなければ、最賃も気にせず、残業代も関係なく?! 東京オリンピックのボランティア参加者さん、指揮命令は別として、賃金・報酬もなく、、、、、参加することに意義がある。

総務部長さん達、改めてビックリしたようです。
「給料、払わなければ、良いわけですね。」(そうとは断言できません。)
続けて
「それじゃ、だれも来てくれませんね。」
「イヤ、来てくれるかも!」

業種・職種的に、「職人芸」と言えなくもないのですが…。

追記:
思い返せば、12年前(2007年)に大相撲の人事・賃金制度を調べたことがありました。あのときも、労働者でなく、見習い・修行の身であると結論付けたのですが、どうもスッキリしませんでした。十両から幕下になった場合、「はい、分かりました」で済むのか…。

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