複数の事業所に雇用されるときの手続き
お盆休みも昨日までで、今日から大阪の私鉄も平日ダイヤでの運転に戻ります。
少し前に「2以上事業所勤務届」を作成、提出しました。全く初めての作成提出ではないのですが、今回失敗しかけましたので、備忘録を兼ねて、ブログにアップします。
まあ、所属選択・2以上事業所勤務届は、多くの場合対象者は役員様ですので、従業員様の場合と違って神経質になる必要はありません。
(と思っているのは、私だけでしょうか。)
原則的な手続き
日本年金機構のサイトが参考になります。
▶「複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き」(外部へリンク)
1.手続内容
(1)被保険者が同時に複数(2か所以上)の適用事業所に使用されることにより、管轄する年金事務所または保険者が複数となる場合は、被保険者が届出を行い、年金事務所または保険者のいずれかを選択します。
(2)届出の結果、選択した事業所を管轄する年金事務所(または健康保険組合)が当該被保険者に関する事務を行うこととなります。なお、健康保険組合を選択した場合であっても厚生年金保険の事務は年金事務所が行います。
※ この届書の提出に当っては、適用事業所の被保険者となるための「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」の提出が前提となります。新たに被保険者となる場合は、事業所から資格取得届が提出されていることを確認してください。
2.被保険者が手続する時期・場所及び提出方法
被保険者が「健康保険・厚生年金保険 所属選択・二以上事業所勤務届」を提出します。
提出時期→事実発生から10日以内
提出先→→選択する年金事務所
提出方法→電子申請、郵送、窓口持参
2以上事業所勤務届の書式は、日本年金機構のサイトをご覧いただくとして、いくつかの注意するポイントが上記の1.2.に隠されています。
通常は、資格取得届も必要です。(「時に資格喪失届も」と書かれている場合がありますが、この段階では気にしないで結構です。)
また、提出するのは、被保険者と書かれていますが、通常は会社の人事総務事務ご担当者か社会保険労務士でしょうか。電子申請だと、個人様から委任状を預かることになるので、私は書面で行っています。
健保組合に加入している、または加入する場合
2以上事業所勤務届は、『協会けんぽ+厚生年金』の場合は、年金事務所だけへの届出で済んでしまいます。
が、医療保険が協会けんぽではなく、健保組合(組合健保とも)に加入している場合等は健保組合にも2以上事業所勤務届を提出します。と書くと誤解を受けそうなのですが、「選択事業所=健康保険証の発行元」に2以上事業所勤務届を提出します。
私の経験ですと、最初のところが健保組合ならそこを選択されます。最初が協会けんぽで、2社目(以降も)が健保組合ならそちらを選択される可能性があります。健保組合の方が給付が良いですから。最初のところを選択されない場合は、健康保険資格喪失届が必要になります。
今回手続きしたのは、1社目が健保組合、2社目も健保組合なのですが別の組合さん。1社目の健保組合には2以上事業所勤務届を提出、2社目の健保組合には提出は不要です、選択していませんので。年金事務所にも2以上事業所勤務届を出してください。
(2社目の健保組合さんには、年金事務所の受付控えを参考のため欲しいと言われました。)
70歳以上で複数の事業所に雇用されるようになったとき
ウッカリしていたのが、こちらでした。あやうく、手続きが滞るところでしたが、事なきを得ました。
日本年金機構のサイトをちゃんと見ておきましょう!
▶70歳以上で複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き(外部へリンク)
1.手続内容
平成19年4月1日以降、厚生年金保険法第27条に規定する70歳以上の使用される者に、60歳代後半の在職老齢年金制度が適用されることとなったため、70歳以上被用者について届出が必要となりました。
標準報酬月額相当額及び標準賞与額相当額の決定は、一つの年金事務所が行いますので、70歳以上の被用者が同時に複数(2か所以上)の適用事業所に使用されることにより、管轄する年金事務所が複数となる場合は、事務を行う年金事務所を選択していただく必要があります。
2.被保険者が手続する時期・場所及び提出方法
70歳以上被用者が「厚生年金保険 70歳以上被用者所属選択・二以上事業所勤務届」 を提出します。
提出時期→事実発生から10日以内
提出先→→選択する年金事務所
提出方法→郵送、窓口持参
役員様ですと、70歳を超える方もいらっしゃいますので、このあたりご注意ください。
留意事項として~
(1)新たに70歳以上被用者に該当すると同時に二以上の事業所に雇用される場合には、それぞれの事業所の「厚生年金保険 70歳以上被用者該当届」の提出が必要です。事業所から当該届書が提出されていることを確認してください。
(2)70歳以上で新たに二以上の事業所に雇用され、健康保険の被保険者となる場合は「健康保険被保険者 所属選択・二以上事業所勤務届」の提出が必要です。
事前に年金事務所へ相談したはずが…
今回手続きした会社様(2社目の方)は、社会保険労務士顧問として対応させていただいております。そのため、事前に2以上事業所勤務になることが分かっていたので、管轄の年金事務所へ念のため相談に伺いました。
私 「この2以上事業所勤務届で、良いですか?」
年金「はい、この方は被用者の方でお願いします。」
(私がミスしていました。健康保険は健保組合の方で、かつ非選択!数名のうち1名様だけ70歳以上でしたので。)
私 「で、資格取得届はこちら(某年金事務所)へ、選択届は選択の方の年金事務所で良いですか?」
年金「それ、困ります。両方、同時に持ってきてください。こっちで処理します。」
で、2週間ほど後に実際に書類に記入し、某年金事務所へ持参したところ…
私 「資格取得届と、2以上事業所勤務届、お願いします。」
年金「取得は良いですけど、2以上事業所勤務届の方は選択した方の年金事務所へ出してください。ああ、遠いから郵送で結構です。」
とりあえず、某年金事務所で両方の書類は提出しました。
(回送=転送の作業をするはずです。オイオイと思いましたが。)
2以上事業所勤務は、結構面倒です
- 通常の手続き以外に、2以上事業所勤務の手続きが入る。今回の場合は、1社目の選択した健保組合さんに標準報酬関係の届が必要になる。
- 給与計算は、保険料の額は、賃金額・報酬額をベースに案分される。年金機構なり健保組合から連絡があります。選択事業所が健保組合なら、保険料は十分注意してください。
- 今回の場合、支払いする先が1カ所増えた計算になります。→1社目の健保組合さん。 経理のご担当者様がぼやいておられました。
複数事業所勤務は、たいてい役員様なので、代表者や役付き役員様の場合は役員報酬をゼロにしてもらったり、普通の役員様なら非常勤役員にしてもらったり、そんな風にして2以上事業所勤務届を出さないようにしていました。
今回は、顧問税理士の先生もOKと言ったので、こういう形に…。
一般の社員・従業員でも、短時間ならあり得ますが、考えたくありません。同一企業グループなら出向がスマートかも知れません。兼業・副業の場合でも、真面目な大企業であれば、週所定労働時間20時間で加入させるでしょうから、このあたり注意が必要です。
(雇用保険はメインの事業所での資格取得のみです。)
複数の事業所勤務になりそうなら
事務のご担当者なら、年金事務所へご相談いただくのが、一番手っ取り早いと思います。健保組合が絡んでいなければ、簡単です。
給与計算ソフトにも、2以上勤務の場合の設定があります。ない給与計算ソフトもあるようですが、メジャーどころならありますので。
間違っても、「届出するの面倒なので、やめとこ」「支払う保険料自体の合計額は変わらないヤン」はアキマセン。まあ、何度も書きますが対象は役員様であることが多く、保険料は上限を納められることが多いので、損も得も無いです。
面倒なだけです。
もちろん、非常勤役員様なら、そもそも資格取得できませんので。
手続き忘れは、過去に遡って手続きをし、被保険者分の保険料を徴収することになるので、必ずお手続きを!
大阪社労士事務所
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