退職届と退職願の実務上での違い

関与先の管理担当の部門長から、こんな質問を受けました。
「退職届と退職願、どう違いますか? もちろん、言葉でなんとなくは理解できるんですが。 知り合いの会社では、厳密に分けてるとからしいです。」
(と、実はその「知り合いの会社」の就業規則のコピーを見せてもらいました。確かに、退職届と退職願を2ページちょい使って規定してあります。中身自体は、「届」「願(伺い)」の差レベル。)

★きっちりと法的な意味合いも含めて、退職届と退職願の区別をしたいのなら、弁護士先生や他の社会保険労務士先生のホームページをご参考ください。丁寧に解説されたページがいくつも発見できます。

  • 退職届
    従業員・社員からの一方的な労働契約の終了を伝える文書
    • 乱暴に書くと、会社からの解雇通知と同じようなもん
  • 退職願
    従業員・社員からの退職についての伺い。会社からの「許可」があって初めて退職合意となる
    • 乱暴に書くと、会社からの退職勧奨みたいなもん

退職届と退職願の実務上での違い

ここまで、部門長にお伝えすると「思った通りですね」と。

では、中小零細企業において、どう区別しているのかと言えば…
退職届と退職願は、同じ扱いです。

「届」「願」の漢字の意味より、従業員・社員が退職する意思を持っていると言うことで、それで十分。

先の管理部門の部門長さんの会社では、急に退職届を提出する社員は少なくて、辞めるとしても2か月3か月前には、直属の上司には相談があるという、個人的には当たり前の会社と社員との関係。ちなみに、就業規則上は1か月前までに退職を申し出るよう規定しています。そして、社員さんの退職希望日通りに退職、転職でなければ引き継ぎ等で調整は入りますが。

過去の顧問先では、こんな感じです。

  • 退職届・退職願を1か月先の日付で出したら、その日に退職させられた
    →労働基準監督署からお電話が来ました~、私も契約終了させられました
  • 退職届・退職願を出したら、ボーナスの支給額がゼロになった
    →他の社員は全員支給、だからこの会社はボーナスが支給されると1か月以内に退職するというパターン

「退職届と退職願」を区別するのは、文言上は必要かも知れませんが、実務上区別することは難しいです。

部門長さん、曰く。
「そら、そうですわ。 まあ、区別ってあまり意味がないですね。」
続けて
「でも、懲戒処分のときに、退職願を出させる会社もあるでしょ。 あれは有効なんでしょうか?」

従業員・社員本人に退職の意思が無いなら…。
民法のアレです…。

部門長さん、「退職願は、トラブルになる感じですね」。
そうとは断言できませんが、なかなか難しいところ。

※守秘義務の関係で、脚色しています。


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