退職者からの就業規則の交付請求

弊所・大阪社労士事務所のお客様から、最近退職した元従業員のことで相談したいことがあるというので、相談に伺いました。

担当部長「実は、退職者から就業規則を交付して欲しいと連絡がありまして。」

詳細は、書けません。
退職者は、労働基準監督署へ相談に行ったら、まず会社の人事労務担当者と交渉して就業規則を送ってもらいなさいという旨の回答をもらったとか。

もちろん、お客様の担当部長には、社会保険労務士として法令に従ってアドバイスしています。

労働基準法(e-Govより)
第九章 就業規則
(作成及び届出の義務)
第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
一 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇~
二 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
三 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
三の二以降省略

私「退職していますし、交付の請求に応じる必要はありません。」
続けて、
私「ただし、部長が会社の責任者として交付しても良いという判断をされるなら、それは否定できません。ただ、その場合でも、交付申請書を提出してもらいましょう。」

町の中小企業(=非上場で今後株式公開の予定も無い会社)で、どこまで書面で対応するのかは別として、その就業規則の使用目的や提出先などについて書面で明らかにしてもらうと同時に、就業規則のコピー代や送料(切手代)、手数料・手間賃も請求してもらうことに。
(実際に、アドバイスはしましたが、その後どう対応されたのかは、まだ聞けず。顧問弁護士さんに相談したかも。)

事務所に戻り、グーグル検索してみると、このような趣旨の通達があるようです。相談された瞬間は、パッと思いつきませんでした。ちなみに、通達集(解釈総覧)にも載っていない!

平成13年4月10日付 基発第354号
「届出事業所に所属する労働者等からの就業規則の開示要請の取扱いについて」

使用者には労働者に対して就業規則を周知する義務があるが、使用者に周知を求めても、閲覧などさせないケースがある。このような場合には、労働基準監督署で就業規則の開示を求めることができる。

 開示を求めらることができるのは、届け出のあった事業場に所属する労働者または退職した労働者(この事業場との間で権利義務関係に争いがある者)である。

「この事業場との間で権利義務関係に争いがある者」って、争っている訳でもありませんし、ご自身で納得されて退職届も自筆で書かれました。労働局のあっせんや労働審判、地域ユニオン含め、ご相談もされていないようです。

残念ながら(?)、未払い残業代の請求もありません。
ほぼ定時で帰られる従業員さんだったらしいので。

弁護士さんにご相談なさったのなら、弁護士法23条の2に基づく「照会」と言うのがあるそうですが、そういうのも無く…。
(ある勉強会で、弁護士の先生に「弁護士会の照会」というのがあると教えていただきました。事例は、金融機関さんの口座関係でしたが。)

その退職者の方、就業規則を何に使うのかも分かりませんし、何の目的があるのかも分かりません。
まあ、退職者に会社が「はいはい」と言って就業規則を交付する義務は無いんですが、部長曰く「何なんでしょうねえ」。

いえ、実はうすうす気が付いたんですが、守秘義務の関係で書けません。

トラブルではありませんが、気になります。


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