高年齢者の賃金は下げてはいけない

「この前の裁判の判決をベースにした解説は見飽きた。」
「同一労働同一賃金は、気にしないよ。」
と思われたかも知れません。
違います。

今月に入って、高年齢者の賃金設定についてのセミナーに2度参加して、昔そしてお客様のところで実際にあったことを思い出しました。

そのセミナーで、高年齢者の賃金について経験談をお話しになった某企業の社長様、一言「定年後再雇用しますが、給料は下げません」と。継続雇用制度が義務化される以前、平成25年までご相談で伺ったら、やはりいくつかの企業様で同じ事を言われました、「何で(定年年齢)60歳になったからと言って、賃金さげるんや。」。

もちろん、60歳時点での賃金額によっては、下げることができないケースもあることが想像できます。逆に、スパッと6割にまでカットされる企業様もあります。

で、うちのお客様の場合。
計算・イメージしやすいよう、60歳時点の賃金40万円とします。定年後再雇用時に社長が提示した金額は、36万円。1割しか下がっていませんので、雇用保険の高年齢雇用継続給付は受給できません。受給できるよう賃金を6割の24万円に設定した場合、継続給付が36,000円受給できます。年額にして雇用保険から40万円以上の支給で、かつ所得税・社会保険料は掛からず。差額の12万円は、ボーナスなどで業績を見ながら支給すれば、額面の年収は同じ程度にできます。
(年金は書きませんが、年収で支給停止を考えるので、36でも24でも、ほぼ同じような数字になります。ちなみに支給額がはっきりしている賞与等は、ボーナス扱いされないことがありますので注意。上記お客様の例は、上限や支給限度額などを説明せずに済むように設定しています、悪しからず。)

このように提案すると、その再雇用の予定者の方が言ったこと。
「いや、2か月に1回書いてもらって、書類を職安に持って行ってもらうのは、担当の人にも悪いですわ。」
事務のご担当者も同席していたのですが、その方も私の案の方が良いと進言されましたが、「1割減の月36万円」で良いという結論に。約束を反故にする企業様ではないのに、ちょっと複雑な心境でした。

確かに、「再雇用だから給料・賃金は下げる・下がる」は常識と言って良いのかも知れません。「定年まで勤めてもらった功労者なのに、下げるとは何事だ。」と言うのも、ある意味、理解できます。

でも、継続給付の制度があるので、少しもったいないなあ、と以前感じたことを思い出しました。

高年齢者・定年後再雇用者の賃金設定ですが、企業の事情や判断が尊ばれてしかるべきでしょう。


※継続雇用で定年後再雇用を採用している場合、労働契約法20条をクリアするなら、無期契約・フルタイム・第2定年制(例えば、再雇用者は65歳を定年とする)が一番簡単??

※65歳までの継続雇用義務化が「公的年金支給までのつなぎ」という位置付けなら、年金の月額相当額でも許されるという発想は、良いんでしょうか。


大阪社労士事務所

【大阪社労士事務所は、公的保険手続き・給与計算・就業規則・労務相談を行う、ごく普通の社会保険労務士事務所です。】

年次有給休暇の管理、有休の計画的付与制度の導入、無期転換ルールの対応、それらに伴う就業規則の変更・見直し、各種規程の策定も行っています。

ご相談・ご依頼は、ご遠慮なくどうぞ。

電話 06-6537-6024(平日9~18時)
不在時は、折り返しお電話させて頂きます。

または、お問い合せフォームから。

企業実務向けマイナンバーセミナー

まだまだ、やっています。
実務に振った内容ですので、ムダがありません。個別相談使いができます。

次回開催は、11月4日です。
マイナンバーセミナー」ご確認のうえ、お申し込みください。

また、個別の相談もしております。「マイナンバー監査業務」も承ります。
お問い合わせからお申し込みください。

無期転換ルール・継続雇用の高齢者特例の実務セミナー

無期転換・5年ルールの本格的な実施まで、あと2年を切りました。
「無期転換後」の労働条件、どうしますか?

次回は、12月に開催します。

無期転換対応セミナー」から、お申し込みください。