賃金台帳の記載内容

【大阪社労士事務所は、人事労務面から企業の業績向上・価値創造を支援します。】

「賃金台帳の記載内容が不足しているので、是正勧告を受けた。」
「賃金の控除は、現状だと違法だと言われた。」
「源泉徴収簿と賃金台帳、何が違うの?」
と、お客様などからご質問を受けます。

賃金台帳は、労働基準法に根拠があります。
労働基準法

(賃金台帳)
第百八条 使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。

実際の記載事項は、施行規則に定められています。第2項以降は省略。

第五十四条 使用者は、法第百八条の規定によつて、次に掲げる事項を労働者各人別に賃金台帳に記入しなければならない。
一 氏名
二 性別
三 賃金計算期間
四 労働日数
五 労働時間数
六 (表現を変更)時間外労働の場合はその延長時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数
七 基本給、手当その他賃金の種類毎にその額
八 第二十四条第一項の規定によつて賃金の一部を控除した場合には、その額

そもそも、「賃金とは何」という疑問。

一般に、労働の対価として使用者が労働者に支払うものをいいます。 労働契約法は、「労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する」と規定しています( 労働契約法6条)。労働契約法上は、労働契約における「賃金」が何であるかは、労働に対する対価についての当事者の合意に委ねられています。
(http://www.jil.go.jp/rodoqa/02_chingin/02-Q01.html から引用)

つまり賃金台帳には、支給されるお金に関しては賃金しか記載できないと思っておきましょう。また、余計な項目を記載するのは止めましょう。

弊所の事例では「出張手当を賃金台帳に掲載していたため、解雇予告手当の基礎賃金に入れられたケース」があります。就業規則も賃金規程も出張旅費規程も作成していましたが、従業員さんの「そんな規程見たことない」、監督官の「賃金明細にも賃金台帳にも載ってると言うことは、賃金ですよ。社会保険労務士さんなら法律分かりますよね、規程があっても。」で・・・。某奈良労働基準監督署です。いきなり、解雇して予告手当を払わない方もちょっと問題。かなりコンサルティングしていたのですが。

別件では、年金事務所(当時は社会保険事務所)に指摘されたのは「(支給項目に載っている)前借り金は手当を誤魔化しているのでは。その借用書は?」。後日、借用書(ただの紙切れ)を持参したところ、「ホンマに借りていたみたいですね。でも、残額とか把握されてます?」と言われ、再び固まったこともあります。昔の某大手前です。当時、ボーナスの分割支給が流行っていた頃で、10年以上前の話です。今の社会保険料の総報酬制につながりますが。

控除項目の方は、「賃金控除協定無し」で指摘受けることが結構あります。事前に顧問契約時のチェックで「協定類ありますか?」と確認していても、いざ労働基準監督署の調査があった時になると「控除協定は見つかりませんでした」ということも何回か。

賃金台帳・賃金明細には、「賃金しか記載しない方がトラブルにならない」と言うことです。余計な項目を記載して説明するのは、通常顧問先様の書類であれば、私・顧問社会保険労務士です。説明はできますが、「賃金台帳は賃金を記載する」のであって、それ以外を記載するのはどうでしょう。

うちの現在のお客様にも、出張旅費や出張時の日当を賃金台帳に記載し、支払っているのですが、担当者曰く「振り込み時の手間が面倒」なので一括して支払っているのが現状です。給料日になると某三菱東京UFJ銀行のATMを使って送金しているようです。
(社長には説明したのですが、担当者が頑として変更しない。)

平均賃金、社会保険の報酬、労働保険の賃金、離職票、休業補償給付など「賃金」を計算の根拠に使うことは多いです。源泉徴収簿は所得税非課税が記載されていないと説明しても、ご理解いただけない方(お客様自身より、他の方)もいらっしゃいます。

社会保険労務士が顧問としてお客様と接しているのであれば、他者から見て誤解を受けるような書類の作成・整備をしてはいけませんよね。

はい、社内のアレコレ、キッチリしたい企業様、歓迎です。


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