年金不正免除

社会保険庁の国民年金の免除についての不正な手続ですが、これは許せません。ある意味、大阪の吹田社会保険事務所管轄の市町村は、よく社会保険事務所のお願いを断ったと思います。

組織的かどうかは分かりませんが、誠に残念なことです。厚生労働省所管の国家資格者である社会保険労務士には、つらいですね。

ただ、今回の事件は、単に社会保険庁を解体すれば話が済む問題ではなく、もっと根が深く、広いものと思います。まあ、社会保険庁は、直接の利害関係者が被保険者、国民なだけに叩きやすいのは事実でしょう。財界に名を轟かせる企業が利害関係者なら、いろいろな圧力もかかってるんじゃないかと勘ぐりたくもなります。最近は、そうでも無いようですが。

さて、年金相談の現場を多少とも知っている私にとっては、今回の事件は理解できる部分も有ります。法律違反を許容するわけではないですが。
現場では、こんなやりとりがよくあります。
国民「国民年金の保険料、生活苦しいので払えないよ。どないしたらエエのん?毎年送ってくるけど、ええ加減にしてほしいわ」
係官「免除という制度がありますよ。所得が少なければ、手続きしていただけますよ」
国民「初めて知ったわ。何で教えてくれへんの?」
係官「はい、市の広報誌や納付書にも同封させてもらってますけど」
国民「そしたら、やってよ!その免除」
係官「はい、今年の4月からの分は出来ますけど、去年の分は、出来ないので、ご了承願います」
国民「過去の分は、出来ひんの!?」

あるいは、年金の裁定請求時期になって、来られる方。
生活保護の基準と勘違いして、免除申請をせずに、国民年金の受給資格を得ることが出来ない方。役所から来る、年金の納付書は来たらすぐに捨てるという方。
年金をもらうことが出来ず、途方に暮れる方を何名も見てきました。生活が苦しいなら免除申請だけでも、と思います。

そう、今朝テレビで元国会議員が「保険料を払いたくても、免除されて払えなくなってしまった人たちもいるんだぞ。何とかしろ、社会保険庁」という旨のコメントを出されていましたが、認識不足、いい加減な発言もほどほどにしていただきたい。免除されたら、逆に10年前に遡って支払えると言うことを知らないようだった。年金に関して、テレビでコメンテーターが欲しいのであれば、大学の教授ではなく、年金の現場に近い社会保険労務士を、絶対コメンテーターに出すべきだと思う。

不正に免除申請をやったことは非常に悪いこと、法律違反と言われても仕方ないが、現場からすると、複雑な気持ちじゃないでしょうか。不正に免除された方は、どう思っているのだろう。