労働トラブルを何とか解決したい

まず、言葉を定義します。
「労働トラブル」=従業員が働くことによって生じたトラブル。相手は、会社・企業のこともあれば、上司、同僚、部下、取引先、お客様のこともあります。

「労使トラブル」=従業員が働くことによって生じたトラブル。ただ相手は、労働トラブルの場合より狭く、会社・企業、経営者・社長、管理監督者です。

以下では、分かりやすく説明したいので、「労使トラブル」を中心にします。お読みいただいている「あなた」は、会社・企業の経営者・社長・人事労務の責任者である方と仮定します。
(会社・企業は、「存在している」状態を念頭に置きます。)

簡単な流れと考え方を、書きましたが、すべての場合を網羅しているわけではありません。
経営者・社長や人事労務担当者だけで答えを出すのではなく、必ず顧問弁護士、顧問社会保険労務士を交えて、労働トラブルの解決に当たってください。

労使トラブルの種類

労使のトラブルには、様々な種類があります。

  • 解雇・退職勧奨
  • 労働契約(労働条件の明示、契約内容の相違・変更、試用期間等)
  • 賃金の未払い
  • 雇用保険
  • 労働条件(制裁、懲戒処分、昇格・昇進、業務上の損害賠償等)
  • 賃金(賞与、割増賃金、手当、平均賃金、一方的な賃金カット等)
  • 職場のいじめ
  • 退職
  • 有給休暇
  • 社会保険
  • セクシュアルハラスメント
  • 職場の人間関係
  • 退職金

これらのクレームを、従業員さんは、色々なところに相談を持ち掛けているわけです。労使トラブルの対処法も、従業員さんはネットで調べているのです。
何か思い当たる節がありますか?

労使トラブルが表面化した

「労使トラブル」「労働トラブル」を起こさない、起きない事業運営がベストなわけですが、相手は人間、こちらも人間ですので、理屈どおりには運びません。
労務リスクは、ゼロに近づけることはできても、ゼロにすることは至難の技です。

労使トラブルは、問題が表面化するまでに、鎮めることもできますが、表面化したときにどうするかです。

  1. 内容証明郵便が送られてきた
  2. 労働局から「あっせん開始通知書」が送られてきた
  3. 裁判所から「労働審判の呼び出し」が来た
  4. 裁判所から「地位保全・賃金仮払いの仮処分」が来た
  5. 労働組合から団体交渉の申し入れがあった
  • 3.4.のケースでは、弁護士の先生にご相談されることをおすすめします。もちろん、何が書いてあるのか、確認したうえで、会社側・企業側の証拠になりそうなものや、労使トラブルに関しての客観的な書類(出勤簿、賃金台帳、労働条件通知書、就業規則等)は、準備しておきましょう。
  • 5.のケースでは、相手方が労働組合である場合、「交渉しないこと」は不当労働行為として、違法行為になります。事実関係を調べたうえで、顧問の弁護士さん・社会保険労務士さんに相談してください。
  • 2.のケースは、内容を確認したうえで、労働局あっせんの場に参加するのか、参加しないのかを決めましょう。理不尽なことが書いてあれば、「不参加」の連絡をとっても構いません。顧問の社会保険労務士さんがいれば、是非相談してください。
    (特定社会保険労務士であることを、登録証で確認してください)

また、「代理人」と称して従業員本人以外が来社のうえ、交渉をすることもありますが、代理人資格がなければ、弁護士法等に触れることがありますので、知っておきましょう。

労働トラブルは、やはり予防が一番

「時間」「手間」「費用」を考えれば、予防に重点を置くのが、賢いやり方です。

  • 時間
    経営者・社長は、「出てこい」となりがちです。色々な場がありますが、出席しないと心証も悪くなる、と知り合いの弁護士さんから聞きました。
  • 手間
    打ち合わせや交渉の場所の確保、移動(必ずしも本社所在地の近所で裁判や交渉とは限らない)、その他面倒なことが一杯です。
  • 費用
    顧問弁護士さんがいらっしゃっても、「裁判、交渉」は通常別料金です。

労働トラブル予防ですが、次の3つを守れば、トラブル発生確率は、確実に低くなるでしょう。

  1. 社内コミュニケーションの充実
    いわゆる「風通しの良い社風」が良いようです。
     
  2. 就業規則や社内規程の正しい運用
     
  3. 経営者・社長、経営幹部のコンプライアンス精神

私は、この3つを守っていくことをオススメします。



a:6462 t:2 y:1