労働トラブルが発生した

まず、言葉を定義します。
「労働トラブル」=働くことによって生じたトラブル。相手は、会社・企業のこともあれば、上司、同僚、部下、取引先、お客様のこともあります。

「労使トラブル」=働くことによって生じたトラブル。相手は、労働トラブルの場合より狭く、会社・企業、経営者・社長、管理監督者です。

以下では、分かりやすく説明したいので、「労使トラブル」を中心にします。お読みいただいている「あなた」は、従業員・従業員であった方と仮定します。
(会社・企業は、「存在している」状態を念頭に置きます。)

なお、あなたが「従業員・雇用関係」でなく、相手方と「委託」「請負」の形式を取っている場合は、下記の考え方は当てはまりません。

法律的には、どうなっているのか

トラブルの内容が、明らかな法律違反である場合

  • 賃金・給与を会社が払わない
  • 残業代を払わない
  • 即時解雇されたのに、解雇予告手当を受け取っていない
  • 最低賃金に満たない低賃金で働かせられている
相談先=まずは、労働基準監督署へ相談を!
  • 退職して1か月経つのに、離職票を書いてくれない
  • 入社して1か月以上なのに、保険証を渡してくれない
  • 必要以上に高い保険料を払わされているようだ
  • 雇用保険・社会保険に加入させてくれない
相談先=ハローワーク(職安)・年金事務所へ相談を!


  • 監督署から連絡をしてもらったが、「支払ってくれない」
    • 裁判所の支払督促か少額訴訟(60万円まで)を利用する
      • 裁判所のホームページには、「支払督促」「少額訴訟」とも、詳しく掲載されているほか、「賃金未払い」「解雇予告手当未払い」などに対応したひな形が準備されています。
相談先=まずは、裁判所へ相談を!
(専門家に相談するなら、司法書士)

トラブルの内容に関係なく、「あなたの気持ち」は?

  • 急に解雇されたが、悪いことはしていない
  • 労働条件が勝手に切り下げられた
  • いじめ・パワハラ・セクハラがあった
  • 職種を急に変更された
  • 退職金が勝手に減額された
    色々あると思いますが、一度、冷静に「されたこと」

「あなたは、相手をどうしたいですか?」

  • 「白黒つけて欲しい」
  • 「とにかく、説明して欲しい」
  • 「謝って欲しい」

労使トラブルがあなたの身に降りかかってきたとき、あなたがどうしたいのかで、次のアクションが違います。
費用や時間、手間、個人の情報(プライバシー)などを総合的に考えたうえで、「どのような行動をとればよいのか」考えましょう。

裁判労働審判労働局あっせん
費用高いやや高い安い
結論が出る
までの時間
1年以上3回まで原則1回
公開・非公開公開非公開非公開
強制力強い強い弱い
代理人必要
弁護士さん
必要
弁護士さん
不要
(社労士もOK)
勝ち負けはっきりはっきりあいまい

「労働局のあっせん」は、費用も安く(代理人を依頼しなければ手数料は無料:行政機関のため)迅速、秘密は保たれますが、「あっせん」の場へ出席することに強制力はありませんので、相手側(会社側・使用者側)が出てこなければ、「おしまい」です。
出てきたとしても、同時に同じテーブルに着かないので、文句を言えるわけではありません。

また、「法律違反に関する問題」や「お勤めの会社に労働組合がある場合」は、「労働局あっせん」には馴染まないとされていますので、注意してください。

「労働審判」は、原則3回までの審理で結果が導き出されるので、かつ強制力があり、非公開でもありますので、使い勝手は良いと思います。ただ、大阪地裁では原則弁護士さんを代理人として立てて欲しいと言うことです。

「労働審判」では、白黒・勝ち負けは、いったんはっきりしますが、不服があれば、通常の裁判へ行くことができます。

労働トラブルを相談できるところ

(必ずしも無料とは限りません。ご自分で判断のうえ、ご相談をお願いします。)

  • 都道府県社会保険労務士会
  • 都道府県労働局
    • 労働基準監督署
    • 総合労働相談コーナー
  • 都道府県労政事務所
  • 行政書士会(主に、内容証明の作成で)
  • 司法書士会(主に、裁判所提出書類の作成で)
  • 法テラス
  • 連合(労働組合)
  • 合同労組(個人加入の労働組合)

もちろん、弁護士の先生や社会保険労務士に知り合いがいれば、相談を持ち掛けることは可能です。

どちらに相談を持ち掛けても、「あなた自身は、どうしたいのか?」を尋ねられますので、いったん気持ちを整理することが大事です。



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