解雇が禁止されている場合を、就業規則に規定するのか

就業規則の見直しを行っている企業の社長様から、素朴な疑問。
「公益通報者保護法では、公益通報しても解雇は禁止されているとありますが、解雇制限の項目に追加して規定しなくても大丈夫でしょうか?」

確かに、この企業様の就業規則・解雇制限の項目には、労働基準法19条の解雇制限しか規定されていませんでした。

早速、調べました。
まず、弊所・大阪社労士事務所で作成・変更した就業規則ですが、直接解雇の制限の項目に規定したものはありませんでした。別の項目で、チラッと触れているものはあり。
モデル規程類、弊所・大阪社労士事務所が利用している団体の規程類も、就業規則の解雇制限で規定しているものは無し。公益通報者保護規程等の別規程で規定している場合は、もちろん、記載有り。

で、結論ですが、解雇の項目に「公益通報したことにより解雇する」と規定しなければ、問題無しとして、社長様にご報告。

グーグル検索で、こんなんを見つけました。

厚生労働省・モデル就業規則

労基法をはじめ様々な法律で解雇が禁止される場合が定められています。就業規則に解雇の事由を定めるに当たっては、これらの法律の規定に抵触しないようにしなければなりません。

※ 解雇が禁止されている場合
1)労働者の国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇(労基法第3条)。
2)労働者の性別を理由とする解雇(均等法第6条)。
3)労働者の業務上の負傷、疾病による休業期間とその後30日間及び産前産後の休業の期間(産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内又は産後8週間以内の女性が休業する期間)とその後30日間の解雇(労基法第19条)。
4)労働者が労働基準監督機関に申告したことを理由とする解雇(労基法第104条、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第97条)。
5)女性労働者が婚姻したこと、妊娠・出産したこと等を理由とする解雇(均等法第9条第2項、第3項)。また、女性労働者の妊娠中又は産後1年以内になされた解雇は、事業主が妊娠等を理由とする解雇でないことを証明しない限り無効とされています(均等法第9条第4項)。
6)労働者が、個別労働関係紛争に関し、都道府県労働局長にその解決の援助を求めたことを理由とする解雇(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成13年法律第112号)第4条)。
7)労働者が、均等法、育児・介護休業法及びパートタイム労働法に係る個別労働紛争に関し、都道府県労働局長に、その解決の援助を求めたり、調停の申請をしたことを理由とする解雇(均等法第17条第2項、第18条第2項、育児・介護休業法第52条の4第2項、第52条の5第2項、パートタイム労働法第21条第2項、第22条第2項)。
8)労働者が育児・介護休業等の申出をしたこと、又は育児・介護休業等をしたことを理由とする解雇(育児・介護休業法第10条、第16条、第16条の4、第16条の7、第16条の9、第18条の2、第20条の2、第23条の2)。
9)労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、又はこれを結成しようとしたこと、労働組合の正当な行為をしたこと等を理由とする解雇(労働組合法(昭和24年法律第174号)第7条)
10)公益通報をしたことを理由とする解雇(公益通報者保護法(平成16年法律第122号)第3条) 等

平成25年3月の日付があるモデル就業規則の説明文です。各条文の確認はしていませんが、本省が作成しているので…。育児・介護休業法あたりは、改正が続いていますので、本当なら条文チェックした方が良さそうです。

これらを全部解雇禁止として項目を設定して規定したことはありません。解雇事由に記載しなければ、逆に言うと問題が無いことに。基本に返って、労働基準法89条にも、解雇の事由は記載しなさいとありますが、解雇の禁止の事由まで記載しろとはありません。

法律だけなら「記載せんでエエんじゃ」ですが、他のモデル就業規則や他社の記載状況なども調査したうえで、お客様に報告します。「法律の規定」「他社の動向」、お客様にとっては両方とも気になることですから。

またまた、お客様の疑問から調べ物をすることができました。
ありがとうございました。


大阪社労士事務所

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