退職金規程を知られたくない

【大阪社労士事務所は、人事労務を通じて、企業経営のお手伝いを行っています。】

お客様である企業の担当部長から、ご相談がありました。
「退職金規程だけ、社員に配布していませんが、問題有りませんか?」

聞いてビックリしました。
その企業様、就業規則と賃金規程、育児休業・介護休業規程は、変更・見直しの都度印刷して全社員(3ケタ)に配布していたので、退職金規程も配布しているものだと思い込んでいました。

退職金規程が見たい場合は、担当部長に連絡して、労働基準監督署に提出した原本控えをその場で手にとってもらうのが、ここ最近のやり方だったそう。

私「うーん、就業規則を配ってましたので、退職金の方も・・・」

理由を聞くと、当事務所と顧問契約を締結・受託した当時は配布していた退職金規程も、次のようなことで配布は取りやめた、と。

●退職金の額を質問してきて、書面で金額を書いて欲しいという「退職予定のない」社員が少なからずいた(毎年計算していたようです。自分でできるんですけど)
●退職金をもとに、前借り(借金)の申込みが何人かいた
●「おれは、今辞めたら○○○万円の退職金だった」と公言する社員がいた

結果、退職金規程だけ最近入社した社員には配布していない状態になったと言うことらしい。

ちなみに根拠条文がこちら。
労働基準法
(法令等の周知義務)
第百六条  使用者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則、(中略)協定(中略)を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない。

退職金規程は就業規則の一部なので、周知させなければならなず、この企業様は「配布」という方法で行っていました。それだけでなく、労働基準法も関係する命令も、36協定などの労使協定も、周知義務があります。そうなんです、就業規則・社内規程だけでなく、労使協定も、労働基準法も、周知義務の対象です。実施していなければ、労働基準監督署の調査があれば、是正勧告が出されます。

担当部長も「仕方ないか」ということで、退職金規程を配布していなかった社員にも配布して、いったん問題は解決?しました。
(別紙として、退職金の金額計算は退職届を提出した社員のみ正式に行う旨記載して配布しました)

社員の皆さんも、退職金の額だけは関心が強いようです。


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