1年単位の変形労働時間制の導入の可否

【大阪社労士事務所では、人事労務の情報を分かりやすくお伝えしています。】

労働時間管理では、いつも悩まされます。
と言いつつも、お客様の実情をヒアリングすれば、その場でお答えできることも数多くあります。

「休日を少なくする労働時間制度はないですか?」
と質問された時に、ご提案することのあるのが、
1年単位の変形労働時間制」です。

ですが、大阪社労士事務所では1年単位の変形労働時間制を積極的に導入支援していません。

提案の際には、必ず次のことを確認しています。
1.変形期間中の出入り(入社、退社)は、賃金の清算が必要なこと
2.基本的に、労働時間の弾力性はないこと
3.制度の趣旨から、残業時間については厳しく運用されること

1.「清算」は、労働基準法にも明記されています。
詳細は、厚生労働省のホームページでも参照していただくとして、忘れがちなのが、この清算です。実は、当事務所のお客様であっても清算していないのが現実です。(それ以前に、週40時間チェックをしていません。)

顧問契約以前から1年変形を導入しているケースばかりですが、「清算」については「忘れていた」お客様ばかりです。ただ、労働基準監督署の調査で指摘されたことはありませんが。。。

今はほとんどのお客様で、清算チェックをして頂いています。まあ、支払いが生じるケースはゼロに等しいです。

2.3.については、通達に1年単位の変形労働時間制の制度創設趣旨が記述されています。簡単に書くと「そんなに甘くありませんよ」と言うことです。通達集や1年変形のパンフレットなどをお持ちでない場合は、管轄の労働基準監督署で見せてもらうと良いでしょう。

時間外労働の限度基準を見ても、「1か月42時間、1年320時間」ですから、通常よりも厳しいことが分かります。1年変形で、特別条項付きの36協定を提出する場合、窓口で制度趣旨を伝えられたり、時には指導もあるとか。

いずれにしろ、安易に「休日数の関係」で1年単位の変形労働時間制を導入するのは、あまりオススメできません。これも書くと嫌がられるのですが、1年変形には労使協定も必要です。労使協定には、従業員の過半数代表者に当事者として締結してもらわなければなりません。その「過半数代表者」、適正に選ばれているケースが労働組合のない中小企業で、どれほどあるのか心配です。

大阪社労士事務所では、完全週休2日制で週40時間をクリアできる場合以外は、まず1カ月単位の変形労働時間制でクリアできないか検討します。

労働時間・労働時間管理を社会保険労務士にご相談されるのなら、「労働基準法の通達集」をお持ちの先生にご相談されることをおすすめします。



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