事業場外労働のみなし労働時間制は、ちゃんと使えます

少し勉強をされているお客様や、同業者の社会保険労務士から質問をいただきます。

「事業場外のみなしは、携帯電話があるから使えませんよね。」
「今どき、桑野さんは事業場外みなしを適用させるんですか。」

詳しいことは、労働局のホームページや記事を参考にしてもらうとして、以下簡単に書きます。
1.指揮命令が及ばない
2.労働時間の算定が困難
1.2.の条件が揃った「事業場外」のときに、このみなし労働時間制は使えます。

使えないというのは、旅行会社の添乗員さんの裁判や労働局の「使えません」表現を鵜呑みにするので、「使えない」結論に至っているのでは?

自分が海外へのパックツアーを申し込んだ時、あるいは職場の慰安旅行に参加した時、結構細かいスケジュール表をくださいます。アレを見ると、確かに「算定しがたい」ではなく、ずーっと添乗員さんが働いているように思います。慰安旅行なんて、どう考えても12時間以上付き添ってくださっています。

営業スタッフとて、ずーっと指揮命令を受けて外回りをしている訳でもないと思います。公園の外周道路だと、社名の入っている営業車がいっぱい停まっていますし、中でお昼寝の方も。

それに、出張時は多くの会社様が「みなし労働時間」としているのではないでしょうか。
展示会の裁判もありますが、労働時間が算定できるのであれば、出張であってもみなし労働時間の適用は本来できません。

業務日報を書いていただいたり、運行日誌も書いていただくのですが、私が調べた範囲では業務日報の表現が非常にあいまいです。「移動時間」「調整」「情報収集」って、移動時間は分かるんですが、歩いて10分のところナゼ自動車だと1時間?調整って、運行日誌と照らすと移動してない、お昼寝?

悪用はいけませんが、事業場外で、かつ実際の労働時間が算定できず、指揮命令も及んでいなければ、事業場外労働のみなし労働時間制はチャンと使えます。

ちなみに、正しい適用をしている私のお客様で、労働基準監督署の是正勧告や是正指導を受けたケースはありません。

労働トラブルや労務リスクを減らすには、良い社会保険労務士を選ぶところから始まります。



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大阪社労士事務所