1カ月単位の変形労働時間制

1か月単位の変形労働時間制とは

1か月以内の一定期間で、業務の都合上、比較的暇な時期と、業務が集中し残業が続く時期が決まっていることがあります。

あらかじめ業務の繁閑のサイクルがわかっている場合、所定労働時間を暇な時期は短く、業務が集中する時期は長く設定することで、全体の労働時間を短縮しようという制度をいいます。

1か月単位の変形労働時間制を導入する

1か月単位の変形労働時間制を導入するためには、就業規則または労使協定その他これに準ずるものにより、次のことを定める必要があります。

  1. 1か月以内の変形期間の長さとその起算日
    1か月以内の範囲で、業務のサイクルにあった長さの変形期間とその起算日を設定します。多くは、変形期間は1カ月です。起算日は、給与計算の対象期間初日にします。
     
  2. 変形期間における所定労働時間の合計が法定労働時間の総枠を超えないこと
    法定労働時間の総枠は、次の式で求めることができます。
    40時間×変形期間の暦日数÷7
    変形期間の暦日数法定労働時間の総枠1日8時間の場合の
    最大労働日数
    1日7時間の場合の
    最大労働日数
    31日177.1時間22日25日
    30日171.4時間21日24日
    29日165.7時間20日23日
    28日160.0時間20日22日

1日の所定労働時間を8時間、7時間の場合を表に入れました。ご参考に。
 

  1. 各日、各週の労働時間の特定
    あらかじめ、変形期間における各日、各週の労働時間を具体的に決めておきます。業務の都合によって、会社が任意に労働時間を変更することはできません。
     
  2. 労使協定による場合
    労使協定による場合は、労使協定の有効期間を定めます。また、各日、各週の労働時間等を就業規則に記載しなければなりません。
     
    締結した労使協定や就業規則は、労働基準監督署への届出と、従業員への周知が必要です。
     
    労働組合を有さない、多くの企業では実務上、就業規則に定める方法が採用されています。簡単だからです。

1か月単位の変形労働時間制、導入のポイント

変形労働時間制を上手に導入することができれば、労働時間の短縮を図ることができます。
そのためには、業務の実態をきちんと把握して、変形労働時間制を選択することが大切です。

  1. 業務の繁閑があるかどうか
  2. 業務の繁閑のサイクルが決まっているかどうか
  3. 業務の繁閑のサイクルは1か月以内の期間で起こるものか

これら3つのポイントすべてにあてはまるようでしたら、1か月単位の変形労働時間制の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

逆に、次のような場合は、1カ月単位の変形労働時間制ではなく、別の方法が良いと思われます。

  • 1日8時間で固定されている場合
  • 1週間に2日の休日を設定する場合(完全週休2日制)
  • 旬間や季節による業務の繁閑が無い場合

ただし、適用できないわけでなく、労働時間に余裕を持たすために、変形労働時間制を採用することもあります。就業規則で規定は完結するため、非常に利用価値・応用範囲の広い変形労働時間制です。

医療機関、社会福祉施設を始め、週休2日制が難しいところ、1日8時間を越えて所定労働時間を決める必要のあるところでは、この1カ月単位の変形労働時間制を当然採用しています。

時間外労働の集計 

時間外労働となるのは、次の場合です。

  • 1日について
    8時間を超える労働時間を定めた日はその時間、それ以外の日は8時間を超えて労働した時間。
     
    たとえば、
    1日の所定労働時間が10時間の場合→10時間を超えた時間
    1日の所定労働時間が 6時間の場合→ 8時間を超えた時間
  • 1週について
    40時間を超える時間を定めた週はその時間、それ以外は週40時間。
     
    たとえば、
    1週の所定労働時間が50時間の場合→50時間を超えた時間で、1日の場合の時間外労働を除いた時間
    1週の所定労働時間が30時間の場合→40時間を超えた時間で、1日の場合の時間外労働を除いた時間
  • 変形期間について
    変形期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間。ただし、1日や1週間の時間外労働を除きます。

割増賃金について

上記の例で、1日6時間の場合、1週間30時間の場合、それぞれ8時間、40時間までは、割増賃金を支払う必要はありません。
通常の賃金(割増率のない100%の賃金)で構いません。

就業規則・賃金規程での、規定の仕方によって変わってきますので、注意が必要です。



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