社会保険労務士って?

社会保険労務士が正式名称ですが、縮めて「社労士(しゃろうし)」や「労務士(ろうむし)」と呼ばれることも少なくありません。

社会保険労務士は、昭和43年にできた社会保険労務士法に基づく、社会保険労働保険および労働法・労務管理に関しての国家資格です。

簡単に説明すれば、次のとおりです。

  • 社会保険労務士は、社会保険・労働保険・労働基準法などで規定されている、申請書や書類の作成を独占的にすることができる
  • 個別労働関係紛争について裁判外の紛争解決の代理人となることができる。ただし、一定の試験に合格した特定社会保険労務士だけ。
  • 社会保険労務士として登録できるのは、国家試験に合格すること、2年以上の実務経験があることの2つを備えていること

もっと平たく書けば、次のようなイメージです。

  • 人事部・人事課・総務課の代行
  • 年金相談の専門家
  • 人事労務・労働法の分野の法律実務家
  • 人事労務分野における経営コンサルタント


根拠となる社会保険労務士法

社会保険労務士法では、次のとおりです。
(抜粋と一部省略:最終改正年月日:平成一八年六月二一日法律第八三号まで)

(目的)
第一条

 この法律は、社会保険労務士の制度を定めて、その業務の適正を図り、もつて労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを目的とする。

(社会保険労務士の職責)
第一条の二

 社会保険労務士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正な立場で、誠実にその業務を行わなければならない。

(社会保険労務士の業務)
第二条

 社会保険労務士は、次の各号に掲げる事務を行うことを業とする。

一 別表第一に掲げる労働及び社会保険に関する法令(以下「労働社会保険諸法令」という。)に基づいて申請書等(行政機関等に提出する申請書、届出書、報告書、審査請求書、異議申立書、再審査請求書その他の書類を作成する場合における当該電磁的記録を含む。))を作成すること。

一の二 申請書等について、その提出に関する手続を代わつてすること。

一の三 労働社会保険諸法令に基づく申請、届出、報告、審査請求、異議申立て、再審査請求その他の事項(厚生労働省令で定めるものに限る。以下この号において「申請等」という。)について、又は当該申請等に係る行政機関等の調査若しくは処分に関し当該行政機関等に対してする主張若しくは陳述について、代理すること。
一の四 個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成十三年法律第百十二号)第六条第一項の紛争調整委員会における同法第五条第一項のあつせんの手続及び雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)第十八条第一項の調停の手続について、紛争の当事者を代理すること。

一の五 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百八十条の二の規定に基づく都道府県知事の委任を受けて都道府県労働委員会が行う個別労働関係紛争(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第一条に規定する個別労働関係紛争に関するあつせんの手続について、紛争の当事者を代理すること。

一の六 個別労働関係紛争に関する民間紛争解決手続であつて、個別労働関係紛争の民間紛争解決手続の業務を公正かつ適確に行うことができると認められる団体として厚生労働大臣が指定するものが行うものについて、紛争の当事者を代理すること。

二 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類を作成すること。

三 事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について相談に応じ、又は指導すること。

2 前項第一号の四から第一号の六までに掲げる業務(以下「紛争解決手続代理業務」という。)は、紛争解決手続代理業務試験に合格し、かつ、第十四条の十一の三第一項の規定による付記を受けた社会保険労務士(以下「特定社会保険労務士」という。)に限り、行うことができる。

3 紛争解決手続代理業務には、次に掲げる事務が含まれる。

一 第一項第一号の四のあつせんの手続及び調停の手続、同項第一号の五のあつせんの手続並びに同項第一号の六の厚生労働大臣が指定する団体が行う民間紛争解決手続(以下この項において「紛争解決手続」という。)について相談に応ずること。

二 紛争解決手続の開始から終了に至るまでの間に和解の交渉を行うこと。

三 紛争解決手続により成立した和解における合意を内容とする契約を締結すること。

4 第一項各号に掲げる事務には、その事務を行うことが他の法律において制限されている事務並びに労働社会保険諸法令に基づく療養の給付及びこれに相当する給付の費用についてこれらの給付を担当する者のなす請求に関する事務は含まれない。

(資格)
第三条

 次の各号の一に該当する者であつて、労働社会保険諸法令に関する厚生労働省令で定める事務に従事した期間が通算して二年以上になるもの又は厚生労働大臣がこれと同等以上の経験を有すると認めるものは、社会保険労務士となる資格を有する。

一 社会保険労務士試験に合格した者

二 第十一条の規定による社会保険労務士試験の免除科目が第九条に掲げる試験科目の全部に及ぶ者

2 弁護士となる資格を有する者は、前項の規定にかかわらず、社会保険労務士となる資格を有する。


守秘義務も法律で担保

守秘義務も、法律により担保されています。

(秘密を守る義務)
第二十一条

 開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員は、正当な理由がなくて、その業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員でなくなつた後においても、また同様とする。

ただし、「顧問先の企業名」は、原則として守秘義務対象ではありません。

社会保険労務士が扱うことのできる法律一覧

次の法律については、社会保険労務士しか取り扱うことができません。他の法律で取扱いが認められている場合を除きます。「取扱い」とは、大まかに「申請手続き」「書類作成」「提出代行」のことです。

別表第一 (第二条関係)
一 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)
二 労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)
三 職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)
四 雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)
五 労働保険審査官及び労働保険審査会法(昭和三十一年法律第百二十六号)
六 独立行政法人労働者健康福祉機構法(平成十四年法律第百七十一号)
七 職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)
八 駐留軍関係離職者等臨時措置法(昭和三十三年法律第百五十八号。第十条の二の規定に限る。)
九 最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)
十 中小企業退職金共済法(昭和三十四年法律第百六十号)
十一 国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法(昭和五十二年法律第九十四号)
十二 じん肺法(昭和三十五年法律第三十号)
十三 障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)
十四 独立行政法人雇用・能力開発機構法(平成十四年法律第百七十号)
十五 激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(昭和三十七年法律第百五十号。第二十五条の規定に限る。)
十六 労働災害防止団体法(昭和三十九年法律第百十八号)
十七 港湾労働法(昭和六十三年法律第四十七号)
十八 雇用対策法(昭和四十一年法律第百三十二号)
十九 炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法(昭和四十二年法律第九十二号)
二十 労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和四十四年法律第八十四号)
二十の二 家内労働法(昭和四十五年法律第六十号)
二十の三 勤労者財産形成促進法(昭和四十六年法律第九十二号)
二十の四 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和四十六年法律第六十八号)
二十の五 沖縄振興特別措置法(平成十四年法律第十四号。第七十八条及び第八十一条の規定に限る。)
二十の六 労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)
二十の七 作業環境測定法(昭和五十年法律第二十八号)
二十の八 建設労働者の雇用の改善等に関する法律(昭和五十一年法律第三十三号)
二十の九 賃金の支払の確保等に関する法律(昭和五十一年法律第三十四号)
二十の十 本州四国連絡橋の建設に伴う一般旅客定期航路事業等に関する特別措置法(昭和五十六年法律第七十二号。第十六条(第十八条の規定により読み替える場合を含む。)及び第二十条の規定に限る。)
二十の十一 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)
二十の十二 地域雇用開発促進法(昭和六十二年法律第二十三号)
二十の十三 中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律(平成三年法律第五十七号)
二十の十四 介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成四年法律第六十三号)
二十の十五 労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(平成四年法律第九十号)
二十の十六 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第七十六号)
二十の十七 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)
二十の十八 林業労働力の確保の促進に関する法律(平成八年法律第四十五号。第十三条の規定に限る。)
二十の十九 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律
二十の二十 個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律
二十の二十一 石綿による健康被害の救済に関する法律(平成十八年法律第四号。第三十八条及び第五十九条の規定に限る。)
二十一 健康保険法(大正十一年法律第七十号)
二十二 船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)
二十三 社会保険審査官及び社会保険審査会法(昭和二十八年法律第二百六号)
二十四 厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)
二十五  国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)
二十六 国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)
二十七 独立行政法人福祉医療機構法(平成十四年法律第百六十六号。第十二条第一項第十二号及び第十三号並びに附則第五条の二の規定に限る。)
二十八 石炭鉱業年金基金法(昭和四十二年法律第百三十五号)
二十九 児童手当法(昭和四十六年法律第七十三号)
三十 老人保健法(昭和五十七年法律第八十号)
三十一 介護保険法(平成九年法律第百二十三号)
三十二 前各号に掲げる法律に基づく命令
三十三 行政不服審査法(前各号に掲げる法令に係る不服申立ての場合に限る。)



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