社会保険(健康保険・厚生年金保険)とは

法人は全て、個人事業は、サービス業と自由業の一部を除き従業員が5名以上のところは、全て社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入する義務があります。

法律で規定されている義務ですので、義務があるところが勝手に社会保険を脱退することは認められないのです。

実際に廃業や法人の解散をしたところは、迅速な全喪の手続が必要です。
事業廃止・休止を証明する書類をご準備のうえ、管轄の年金事務所で手続きして下さい。
証明書類は、税務署の受付印のある廃業届、解散登記のある法人登記簿(登記事項証明書)が分かりやすいと思います。

もちろん、労働保険については労働基準監督署で、雇用保険は公共職業安定所で、事業の廃止の手続きが必要です。

社会保険より会社の存続

非常によく言われるのが、次の言葉です。
「社会保険に加入するより、事業の存続だ」
これは、コレで当たり前のことです。

いえ、当たり前でしょうか。
社会保険料は、給与・役員報酬の約16%ほどです。
(平成27年12月現在)

キャッシュのいくらが、社会保険料でしょうか。
これは、会社設立当初のことと共通しますが、法律で決められていることなので、最初から見込んでおくことが、財務上必要ではないでしょうか。

人事労務の対策

対策を全てやってみませんか。対象が従業員の場合は、労働条件の不利益変更に当たることがありますので、ご注意ください。

  1. 希望退職を募る
    やむなしです。
    しかし、業務・事業の見直しとともにすべきであって、単独でこれを行うと、従業員の流出が始まります。また、やり方を間違えると訴訟になるケースも少なくないので、人事担当者がいない場合は社会保険労務士などの専門家を入れて、手順を踏まえて行ってください。
     
  2. 賃下げ
    経営者側として実は、これを1番最初に提案すべきでしょう。
    率としては5〜20%が多いのですが、自社の賃金水準を考えた上で賃金カットの率は決定します。個人的には、10%が限界ラインと考えています。管理職は、一般職よりも5%程度上積みするケースが多いようです。一番肝心なのは、「賃下げの期限を決めること」。1年ないし2年と言うようにします。無期限の賃金カットは、事業自体を見直す必要があります。最低でも、個人同意をとります。
     
  3. 勤務時間の短縮
    実は、効果のない方策の1つかも知れません。社会保険の資格を喪失させることはできても、勤務時間の減った分、誰かを雇い入れなければならないからです。結果、人事管理が煩雑になったり、採用の手間が増えたり、で結果として、「効果が思ったほどない」となってしまいます。
     
  4. 事業部門の見直し(本来のリストラ)
    当たり前のことですので、対策にはなりませんが、労働契約法の整理解雇の条件をクリアした上で、事業部門の見直し、廃止などを行います。
     
  5. 役員の資格喪失・報酬減額
    役員・経営者だけ資格喪失または役員報酬を減額します。非常勤扱いで資格喪失の場合は、国民年金・国民健康保険または任意継続で、というパターンがあります。

本来「これだけは」

  • まず「経営者・経営幹部」から
    社会保険労務士としては、大変言いにくいことですが。
    経営者や息子さんだけが、高級外車に乗っていたり、役員報酬のカットを免れていれば、従業員の賃下げや整理解雇について従業員の同意は得にくいでしょう。カットをしたとしても、役員報酬の水準自体が問題となる場合も考えられます。
  • 賞与の廃止は、優秀な従業員を失う
    月例給与は減ってしまっても、賞与は、対象となる期の業績のみの評価で、支給していただきたいと思います。モチベーションのダウンにつながるようなことは、できるだけ避けたいのです。
  • 退職金の廃止は、成績の悪い従業員を残す
    退職金を廃止すると、成績の悪い従業員を辞めさせる手だての一つを失います。退職金があることは、勤続のモチベーションだけではないのです。

私なら、こうします。

まず、賃金カットを1年間10%、管理職は15%程度、経営幹部はそれ以上でしょうが、提案し、従業員の個別同意、契約書への同意押印を求めます。次に、賃金カットとほぼ同時に、成績の悪い従業員数名も併せて、希望退職を募り辞めていただきます。手順と書類を間違えると、退職問題は裁判になりやすいので、適正な手順で。

それでもダメなら

社会保険労務士が、正当な理由が無く社会保険の全喪手続を代行すると、健康保険法・厚生年金保険法・社会保険労務士法などの各法に違反しますので、業務として全喪手続を受託することはできません。
それ以前に、事業の実態がどうなっているのか、それを見極めた上で、どういう手順を踏むのか考えた方が良いでしょう。



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