コンプライアンスとは

 コンプライアンスは一般に法令遵守と訳されるが、これは、企業が経営・活動を行う上で、法令や各種規則などのルール、さらには社会的規範などを守ることを意味します。

 つまり、守るべき規範は法律に限らず、社会通念、倫理や道徳を含むと解釈されています。

 企業を取り巻く法律や規則は、民法や商法をはじめ独占禁止法、不正競争防止法、労働法、消費者保護法など多数あり、監督官庁の命令・指導などもあります。さらに、営業活動や市場競争の公正さ、消費者などへの情報公開、職場環境(過労死、セクシュアル・ハラスメントなど)、公務員や政治家との関係、証券市場における取り引きなど、多くの面で高い倫理(企業倫理)が求められるようになっています。

 企業には、社会的責任を負う立場として、こうした多岐にわたる規則・規範を全役員・従業員が遵守し、もし違反行為があった場合には、早期に発見して是正できるマネジメント体制を作ることが求められています。また、業界慣行、社内ルールがより広い視点で法律や社会通念と相反していないかといった第三者的チェックも必要になるでしょう。

 コンプライアンスの重要性が叫ばれるようになった背景には、違法行為や反社会的行為を行って、消費者や取引先の信頼を失い、事業継続が不可能になる企業が頻発するようになったことがあります。したがって、企業にとってコンプライアンスは、リスクマネジメントの一環として認識されている場合が多いようです。

 しかし、complianceの原義(「(命令や要求に)応じること」「願いを受けいれること」)に戻って、社会からの信頼を高めるための戦略的活動として取り組んでいる企業もあります。

 なお、コンプライアンスの観点から労務管理を考えると、次のようなものが関係してきます。

  • 従業員の適正な労働条件を確保する(労働時間管理、適正な賃金支払いなど)
  • 従業員が安心して働ける職場の安全衛生管理を徹底する(安全衛生管理体制の強化、労働安全衛生マネジメントシステムの実施、健康管理など)
  • セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントなどを許さない職場環境を作る
  • 従業員の個人情報の取り扱いやプライバシーに配慮する
  • 人事労務管理に関して、従業員からの相談・苦情処理窓口を設ける
    など



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